この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由で購入されると当サイトに紹介料が入りますが、掲載内容は編集部が独自に判断しています。詳細
先に確認してください
次のどれかに当てはまるなら、この先を読むより先に動物病院へ電話を。
- まったく食べずに丸1日以上経っている
- ぐったりして反応が鈍い、体が冷たい、けいれんしている
- 何度もトイレに行くのにおしっこが出ていない(命に関わる尿道閉塞のおそれ)
- 繰り返し吐く/白目や歯ぐきが黄色い
- 口を開けて呼吸している、呼吸が速い・浅い、肩で息をしている(猫の開口呼吸は原則すべて緊急です)
- 後ろ足を突然引きずる、足先が冷たい、大声で鳴く(動脈血栓塞栓症のおそれ)
- ユリなどの植物、ひもや糸、人の薬をかじった心当たりがある(ユリ科はごく少量でも急性の腎障害)
なお、口やおしりからひもが出ていても、絶対に引っ張らないでください。腸を傷つけます。そのまま動物病院へ。
当てはまらなかった方へ。ほかに症状のない健康な成猫であれば、受診を考える目安は絶食24時間です(水を飲んでいても、食べていなければ絶食として数えます)。子猫、太り気味の猫、持病のある猫は、それより早く動く必要があります。
編集部の猫(8歳・雑種)が、夜に入れたカリカリを朝までほとんど残していたことがあります。皿の位置だけ少しずれていて、においは嗅いだらしいと分かる。猫の食欲不振は、「どのくらいで動くべきか」の目安が比較的はっきりしている数少ないトラブルです。まず、最後に完食した時刻を思い出してください。
最後に食べたのはいつ?時間で緊急度が変わります
猫が食べない相談で獣医師が最初に聞くのは、原因ではなく「最後に完食したのはいつか」です。同じ「食べない」でも、6時間と30時間ではまったく別の状態として扱われます。
このとき編集部で打ったメモは「6:40 半分」の一行だけでした。半日も経つと「昨日の朝だっけ、その前の晩だっけ」と記憶があいまいになり、電話口で答えられなくなります。1行で足ります。
次の表は、冒頭の緊急サインに当てはまらない場合の目安です。
| 絶食の時間 | 健康な成猫の場合の目安 |
|---|---|
| 〜12時間 | 1食抜く程度。ほかに症状がなく普段どおり過ごしているなら、次の食事の様子を見る |
| 12〜24時間 | 原因を探しながら、動物病院に電話で相談する段階 |
| 24時間以上 | 受診をすすめられる目安。元気でも先延ばしにしない |
次に当てはまる猫は、上の表の目安よりも早く動く必要があります。
- 子猫……体に蓄えが少なく、とくに生後2か月未満では数時間の絶食でも低血糖を起こすことがあります。生後数か月の子でも、半日食べなければ様子見の段階ではありません。
- ぽっちゃりした猫……後述する脂肪肝のリスクが高いグループです。
- 持病のある猫、シニア猫……腎臓病、心臓病、糖尿病などの治療中は、食べないこと自体が治療計画を崩します。とくに糖尿病でインスリンを使っている猫は、食べていない状態で普段どおりの量を打つと低血糖を起こすおそれがあります。自己判断で量を変えたり中止したりせず、注射の前にかかりつけへ連絡してください。
猫は食べないと何日もつのか
「何日もつか」という数え方は、猫には向きません。食べず、水も飲んでいない場合は、脱水が急速に進むため24時間を待たずに連絡してください(もともと腎臓病のある猫では、さらに早く危険域に入ります)。水を飲んでいても、絶食が数日に及べば次に説明する脂肪肝が起こりえます。しかもこれは「何日から」と線を引ける現象ではなく、体格や持病によって前後します。
限界の日数を探しても意味がありません。数えるべきは、最後に完食してからの時間だけです。
猫の絶食が「太っているほど危ない」わけ
食べない日が続くと、体はエネルギーを作るために全身の脂肪を肝臓へ送り込みます。ところが猫は、肝臓に集まった脂肪を送り出す仕組みが犬や人ほど効率的ではないと考えられています。処理しきれない脂肪が肝臓にたまり、肝機能が落ちていく。これが肝リピドーシス(脂肪肝)と呼ばれる状態です。
やっかいなのは、蓄えが多い猫、つまり太り気味の猫ほど肝臓に送られる脂肪の量が多く、発症しやすい点です。「うちの子はぽっちゃりだから、少しくらい食べなくても平気」——実際は、まったく逆です。蓄えが多い猫ほど、絶食のリスクは高くなります。
発症すると黄疸やよだれ、さらなる食欲低下が現れ、入院して栄養を入れる治療が必要になることもあります。数日の絶食から始まることを考えれば、24時間で連絡するという目安は、慎重すぎるものではありません。
元気そうに見えても、水を飲んでいても、様子見の理由にはなりません
飼い主が受診をためらう理由でよく挙がるのが、この2つです。どちらも状態を伝えるうえで大事な情報ですが、待ってよい根拠にはなりません。
水を飲んでいても、カロリーはゼロです。肝臓に脂肪が送られる流れは、水分摂取では止まりません。むしろ「水しか飲まない」状態が丸1日続いているなら、それは絶食1日目としてカウントしてください。
元気があるように見える猫も同じです。猫は痛みや吐き気があっても、飼い主の前ではいつもどおり毛づくろいをします。隠すのがうまいのです。動きが鈍くなった時点では、すでにかなり進んでいることも珍しくありません。
あわせて読みたい猫の脱水症状と4つの対処法
排泄も、様子を見てよい根拠にはなりません。食べていなければ便が減るのは自然だからです。ただし病院に伝える情報としては役に立ちます。おしっこの回数と量、便が出ているか、色はどうか。判断はせず、事実だけを正確に伝えてください。
なお、便が出ていても「詰まりがない証拠」にはなりません。詰まった場所より先にあった便は、いつもどおり出てくるからです。おしっこの量が増えているときも、腎臓や甲状腺、糖尿病のサインであることがあります。
おやつやチュールだけ食べるなら、口の中を疑う
「カリカリは残すのに、チュールを出すと飛んでくる」。これは食欲がある証拠と受け取られがちですが、そう単純ではありません。
嗜好性の高いおやつは、においが強く、噛まずに舐めるだけで飲み込めます。つまり「食欲はあるのに、カリカリを食べられない理由がある」可能性が出てきます。代表的なのは口の中の痛みです。
- 歯肉炎・歯周病、口内炎で、硬いものを噛むと痛む
- 歯が折れている、口内に傷や潰瘍がある
口の中に問題が見当たらないときは、軽い吐き気を疑います。少量なら受けつけるのに、量を食べると気持ち悪くなる猫がいます。吐き気は家庭で判断できず、原因によって対応が変わるので、心当たりがあれば受診時にそのことも伝えてください。
口の中を見てはいけない場合
呼吸が苦しそうな猫は、抱えたり保定したりするだけで状態が悪化することがあります。冒頭の呼吸のサインに当てはまるなら、口の中は確認せず、そのまま連絡を。
上に当てはまらなければ、口の中は明るい場所で口角をそっと持ち上げれば見えます。歯ぐきの縁だけが赤い線のようになっていたり、口臭が急に強くなっていたりしたら、フードの問題ではなく口のトラブルとして獣医師に見てもらってください。無理にこじ開けると猫も飼い主もけがをするので、嫌がったらそこでやめて構いません。
このとき、歯ぐきの色そのものも見てください。健康な猫は淡いピンク色です。白っぽい・黄色い・紫がかっているときは、貧血や黄疸、酸素不足のサインであることがあります。いずれも、その場で動物病院に連絡してください。歯ぐきに黒い斑点がある猫もいるので、判断がつかなければ無理に決めず、そのまま電話で相談すれば十分です。
なお、おやつだけで数日をしのぐのはおすすめできません。一般的なおやつは総合栄養食ではないため、それだけでは必要な栄養がそろわないからです。
あわせて読みたい総合栄養食と一般食の違い
シニア猫が食べなくなったときに考えられること
7歳を過ぎたころからの食欲低下は、「歳のせい」で片付けないほうがよい変化です。加齢そのものより、加齢に伴って増える病気が背景にあることが多いためです。
慢性腎臓病では、体にたまった老廃物による吐き気で食が細くなります。甲状腺機能亢進症は10歳を超えた猫に多く、初期にはむしろよく食べるのに痩せていくのが特徴で、進むと食欲が落ちます。歯周病は高齢猫にごく一般的にみられ、口の痛みは静かに食事量を削ります。
いずれも家庭で見分けることはできません。ただ、次の変化を一緒に伝えると診察が早く進みます。
- 体重の推移(毎月測っていれば理想的ですが、抱いて体重計に乗るだけでも十分です)
- 水を飲む量とおしっこの量が増えていないか
- 毛づやが落ちていないか、背骨が触って目立つようになっていないか
あわせて読みたい猫が水を飲まない理由と、今日からできる工夫
受診までにできる、食べさせる工夫
病気が隠れていない前提での話です。ストレスや暑さ、フードの飽きが原因なら、次のどれかで食べ始めることがあります。やりやすいものから、1つずつ。
このとき、一度に2つ以上変えないでください。温めながら皿も替えてしまうと、次に食べなくなったときにどちらを戻せばよいか分からなくなります。1つ試して、次の食事で判断する。これが結局いちばん早い方法です。
- 温める……猫の体温と同じくらい(38℃前後、触ってほんのり温かい程度)まで温めると、においが立ち、食欲を刺激するとされています。
- 皿を替える、位置を変える……ヒゲが縁に当たる深い器を嫌う猫は多く、浅く広い皿にするだけで食べ出すことがあります。人の動線上や洗濯機のそばなど、落ち着かない場所も見直しの対象です。
- 1回量を減らして回数を増やす……一度に出す量が多いと、それだけで食べる気をなくす猫がいます。1日分を4〜5回に割り、食べきれる量を皿に出してください。残ったら下げて、次の回に持ち越さないこと。
- フードの鮮度を疑う……ドライフードは開封後に酸化が進みます。1か月以上前に開けた袋なら、新しい袋の同じフードを少量出して反応を比べてみましょう。ただし、気分が悪いときに新しい銘柄を出すと、そのフードそのものを嫌いになってしまうことがあります。試すのは「同じフードの新しい袋」までにとどめ、別の銘柄は体調が戻ってからにしてください。
- 環境の変化を戻す……引っ越し、来客、模様替え、新入り猫。心当たりがあれば、隠れられる場所と静かな食事スペースを用意します。もとの配置に戻せるものは戻してください。
温め方の手順
ウェットフードは耐熱の器に移し、50〜60℃くらいのお湯を張ったボウルに器ごと浮かべて、混ぜながら数分。指を入れて「ほんのり温かい」と感じたら十分です。温度計は要りません。
電子レンジを使うなら、必ず耐熱の器に移してから。アルミパウチや缶のまま入れると火花が出て危険です。600Wで5〜10秒までにとどめ、スプーンで全体を混ぜ、熱くないことを確かめてください。
ドライフードは40℃程度のぬるま湯を小さじ半分ほど回しかけると、においが立ちます。温めたフードやふやかしたフードは傷みやすいので、20〜30分置いて食べなければ片づけ、次の食事で作り直してください。
編集部の猫のときは、浅い皿に替えても変化がなく、効いたのは1回量を減らしたことでした。どれが効くかは猫によって違います。1つずつ試す価値があるのは、そのためです。

やらないでほしい4つのこと
- 自己判断での強制給餌……シリンジで口に流し込む方法は、吐き気がある猫では誤嚥性肺炎を招くおそれがあります。必要かどうか、どの姿勢で行うかは、獣医師の指示を受けてから判断してください。
- 人の食べ物で気を引く……玉ねぎ・長ねぎ・にんにくを含む料理は、スープや煮汁であっても、少量で貧血をともなう中毒を起こすおそれがあります。かつお節や煮干しはマグネシウムやリンが多く、尿路結石のリスクから日常的に与えるものではありません。牛乳も、乳糖をうまく分解できない猫が多く、下痢を招くことがあります。
- 「明日まで様子を見る」を繰り返す……24時間を過ぎたら、翌朝ではなくその日のうちに連絡を入れてください。夜間対応の病院は、日中のうちに「(お住まいの市区町村名)+夜間 動物病院」で検索し、電話番号を連絡先に登録しておくと迷いません。多くは事前の電話連絡が必要です。
- 食べ始めた直後に山盛り出す……長く食べていなかった猫に急に多量を与えると、嘔吐や下痢のほか、体内のミネラルバランスが崩れて状態を悪化させることがあるとされています。少量から、数回に分けて戻します。
電話の前に、これだけメモを
ここまでに出てきた項目を、電話用にまとめておきます。スクリーンショットを撮っておくと、電話口でも診察室でもそのまま読み上げられます。
- 最後に完食した日時と、その後に口にしたもの(おやつ・水も含めて)
- 体重(分かれば直近の変化も)
- おしっこと便の回数・量・色
- 嘔吐の有無と、吐いたものの見た目
- 環境の変化、フードを変えた日
- かかりつけの診察券番号と、前回の受診日
皿の減り具合は、猫が最初に出すサインです。原因の見当がつかないまま24時間が過ぎたら、次にすることは工夫の追加ではありません。かかりつけに電話を1本、それだけです。
この記事について
飼い主向けの一般的な情報を編集部がまとめたものです。獣医師による監修は受けていません。個々の猫の診断や治療方針を示すものではなく、症状の原因や必要な処置は診察を受けなければ判断できません。
判断に迷ったときは、この記事の目安よりも受診を優先してください。冒頭に挙げた症状に当てはまるなら、いまお電話を。
最終更新:2026年8月17日(内容は更新時点の情報です)




