猫の毛玉の取り方|ハサミを使わない理由と、自宅でほぐせる境目

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脇の下に硬い塊を見つけたとき、つい手がハサミに伸びます。猫の皮膚を切ってしまう事故は、この数秒のあいだに起きます。毛玉は皮膚を巻き込んで持ち上がるため、毛だけを切っているつもりでも、刃の下には皮膚があります。

この記事は、被毛がからまって固まる「毛玉」(毛のもつれ)の取り方です。抜け落ちた毛が生えている毛にからまり、皮膚の近くで硬く固まったものを指します。猫が口から吐き出す毛球(ヘアボール)は別の話題です。食事でのケアについてはキャットフードでできる毛玉ケアまとめをご覧ください。

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まず結論:指で持ち上げて浮く毛玉は自宅で、皮膚が引かれる毛玉は動物病院かトリミングサロンへ

自宅で取っていい毛玉かどうかは、指で持ち上げて皮膚がついてこないこと、毛玉と皮膚の間をコームが抵抗なく通ることの2つで判断します。

  1. 指で毛玉を軽く持ち上げ、皮膚が一緒についてこないかを見ます
  2. 皮膚がついてくる、猫が嫌がる、毛玉が動かない。このどれかなら、自宅では取りません。動物病院かトリミングサロンに相談してください
  3. 指で浮いたものだけ、毛玉と皮膚の間にコームの歯を当てます。抵抗なく通れば自宅で対応できます

判定のためであっても、コームを押し込まないでください。

状態 判断 対応
毛玉が浮き、下にコームが抵抗なく通る 自宅で対応できる 指で裂いてからコームでほぐす
皮膚ごと引っ張られる 自宅では取らない 動物病院かトリミングサロンへ
皮膚が赤い・じくじくしている 皮膚炎の可能性 動物病院へ(サロンより先)
広い範囲がフェルト状 自宅では不可能 動物病院へ(鎮静が必要なことも)
肛門のまわりが毛玉と便で固まっている/排便していない/湿った毛玉に虫が付いている 緊急性がある その日のうちに動物病院へ(自宅で切らない)

ハサミは使いません。皮膚が薄く、よく伸びるからです

猫の皮膚は犬や人より薄いうえによく伸びるため、毛玉をつまむと皮膚まで一緒に持ち上がり、家庭では毛だけを切り分けられません。ハサミは使わないでください。

傷は思ったより大きくなります。伸びた皮膚が切れると、手を離したときに切り口が広がるためです。動物病院での縫合が必要な傷になることがあります。

やってはいけないこと

  • 毛玉にハサミを使う(水平・垂直を問わず)
  • 引っ張って抜こうとする。皮膚が持ち上がり、猫は強い痛みを感じます
  • 毛玉があるうちにシャンプーをする。毛玉はさらに締まります
  • 嫌がっているのを押さえつけて続ける
  • 人間用のバリカンを使う。刃の形が違い、皮膚をすくいます

もし切ってしまったら

  • 清潔なガーゼやタオルで数分間、押さえて止血します
  • 消毒液や人間用の軟膏は塗らないでください。猫が舐めます
  • 傷が小さく見えても、その日のうちに動物病院に連絡してください。伸びた状態で切れているので、見た目より大きく開いています
  • 出血が止まらない、皮膚が離れている、脂肪や筋肉が見える場合は、押さえたまますぐに受診してください

まずはコーム2本から

自宅でそろえるのは、ほぐす主役の目の粗いコームと、細かく裂く毛玉取りコームの2本で、バリカンは自宅向けの道具ではないため含めていません。

道具 使う場面 注意
目の粗いコーム 毛玉をほぐす主役。日常の確認にも使える 歯の先が丸いものを選ぶ
毛玉取りコーム 刃で毛玉を細かく裂く 毛玉が皮膚から浮いているときだけ、浅く入れて下方向に裂く。抵抗を感じたら中止

毛玉取りコームは刃物です。高齢猫や痩せた猫のたるんだ皮膚には使わないでください。ほぐしたあとの抜け毛の除去には、ふだん使っているブラシで足ります。スリッカーブラシを使う場合は、押し付けずに毛の上を滑らせてください。毛玉をほぐした直後の皮膚は敏感になっています。

毛玉取りコームを引き出しから出す音で逃げる猫がいます。その場合は、コームを触る前に猫の隣に置いておく日を何日か作ってください。

あわせて読みたいどんなブラシがいいの?猫の抜け毛対策まとめ

自宅でほぐす手順は5つ。うまくいくかは押さえる手で決まります

自宅での毛玉取りは、根元を押さえる、指で縦に裂く、毛先からとかす、毛玉取りコームで残りをほぐす、切り上げる、の5手順で進めます。とかす力ではなく、押さえる手のほうに意識を置いてください。

  1. 毛玉の根元を押さえる。毛玉と皮膚の間に指を入れ、皮膚が引っ張られないように支えます。この工程を飛ばすと、以降のとかす動作がそのまま皮膚を引く力になります
  2. 指で縦に裂く。毛玉を両手の指で少しずつ縦方向に割り、小さく分けます。まだ道具は使いません
  3. 毛先からとかす。目の粗いコームで、毛先→中ほど→根元の順に、短いストロークで少しずつ入れます。歯が1本引っかかった時点で手を止めて、毛先側に戻ります。この往復が作業時間のほとんどを占めます
  4. 残りをほぐす。細かくなった部分に毛玉取りコームを使います。1か所で粘りません
  5. 脇の下ひとつ分、5分ほどで切り上げる。途中でもかまいません。全部やろうとしないでください

猫が嫌がるサインは、鳴く前に出ます。耳が横に倒れる、尻尾の先が床を打ちはじめる、前足で手をどけようとする。このどれかが出たら、その毛玉が途中でも終わりにしてください。振り向いて口を近づけてきたら、噛まれる直前です。すぐに手を離してください。

無理やり終わらせた1回のせいで、次からコームを見ただけで逃げるようになることがあります。毛玉ひとつをきれいに終わらせた日より、脇の下を半分だけ触って解散した日のほうが、翌日また触らせてくれます。

痛みを伴う処置では、ふだん噛まない猫でも噛みます。噛まれたらよく洗い、腫れや熱があれば人間の医療機関を受診してください。
猫の毛をコームで毛先からとかしているところ

バリカンが要る状態は、もう自宅の範囲ではありません

バリカンの出番は、指でほぐせる段階を過ぎて広い範囲がフェルト状になったときで、その状態はすでに動物病院かトリミングサロンに任せる領域です。

フェルト化した毛の下では皮膚がずっと引っ張られていて、刈ってみて初めて赤みや擦り傷が見つかることがあります。動いている猫に刃を当てると皮膚をすくうため、動物病院では鎮静をかけて処置する場合もあります。鎮静には事前の状態確認が要るので、高齢猫では血液検査を挟み、当日すぐとは限りません。

すでにバリカンをお持ちでも、フェルト化した毛玉に当てるのはやめてください。刃の選定、たるんだ皮膚の固定、刃の発熱。この3つを同時に管理する必要があり、どれか1つを外すと皮膚に達します。たるんだ皮膚も刃の発熱も、毛玉の有無とは関係なく起こります。ハサミと同じで、家庭で条件を保証できないためです。毛玉を作りにくくしたいなら、刈るのではなく、コームを入れる頻度を上げてください。

全身を短く刈るサマーカットにすると毛玉はできにくくなりますが、体温調節と皮膚を守る毛を落とすことでもあります。繰り返し毛玉ができる猫や、自分で手入れができなくなった猫のための選択肢で、見た目や涼しさを目的に選ぶものではありません。

毛玉ができやすい場所には偏りがあります

毛玉ができやすいのは、動きでこすれる場所と、猫自身の舌が届きにくい場所です。ただし、これ以外の場所にできないわけではありません。

  • 脇の下と前足の付け根。歩くたびにこすれます。よく見つかる場所です
  • 内もも。座る姿勢でこすれ、飼い主も気づきにくい場所です
  • 首の下、あごの下。首輪をしている猫では、その周囲に集中します
  • お尻のまわりと尾の付け根。高齢猫や太り気味の猫で増えます。ここは便が毛にからんで肛門をふさぐことがあり、排便できていない様子があればその日のうちに受診してください。毛玉が湿っていて虫が付いている場合も同じです。この部位は自宅で刃物を使わないでください
  • 背中の後ろ半分。体が硬くなると届かなくなります

耳のうしろ、胸、脇腹、指の間にもできます。指の間の毛玉は歩き方に影響するので、足も見てください。

確認は、なでるついででかまいません。指を毛の中に入れて、皮膚まで届くかを見ます。指が途中で止まる場所があれば、そこが毛玉です。見つかったら、浮くかどうかを指とコームで確かめてください。短毛の猫は週に1回、長毛の猫は毎日、脇の下と内ももに指を通しておくと、硬くなる前に気づけます。
猫の脇の下あたりに指を入れて毛の状態を確かめているところ

毛玉が急に増えたら、体調のサインとして見てください

毛玉が短期間で増えるのは、猫が自分で毛づくろいをしなくなった結果であることが多く、そのときは体のどこかに理由があります。

窓辺で毛づくろいをしていた猫が、このごろは寝ているだけ。飼い主が気づけるのは、たいていこの段階です。舐めなくなる理由はいくつもあります。

  • 関節が痛く、体をひねる姿勢が取れない(高齢猫に多く、背中と腰に毛玉が出ます)
  • 口の中が痛い。歯周病や口内炎では、舌を使う動作そのものがつらくなります
  • 太って口が届かない
  • 腎臓や甲状腺など、内臓の病気。高齢猫では被毛の乱れが最初の変化として現れることがあります
  • 高齢による認知機能の変化、目や神経の不調
  • 環境の変化によるストレス

とくに背中の後ろ半分から腰にかけて急に毛玉が増えた高齢猫は、関節や口の中に加えて、血液検査・尿検査を含む全身のチェックを受ける価値があります。毛玉を取っても、毛づくろいが減った原因のほうは残ります。

あわせて読みたい愛猫のために知っておくべき!抜け毛の原因と病気とは?

よくある質問

ハサミもバリカンも、家庭では使いません。費用の目安や、放置したときに毛玉がどうなるかとあわせてまとめました。

猫の毛玉はハサミで切ってもいい?

使わないでください。毛玉は皮膚を巻き込んで持ち上がるため、毛だけを切っているつもりでも刃の下に皮膚が入り、縫合が必要な傷になることがあります。取れない毛玉は、切らずに動物病院かトリミングサロンに相談してください。

猫の毛玉はバリカンで刈ってもいい?

広い範囲がフェルト状になっている場合はバリカンでの処置になりますが、自宅では行わず、動物病院かトリミングサロンに依頼してください。刃が皮膚をすくうためで、動物病院では鎮静をかけて処置することがあります。

毛玉取りをサロンや動物病院に頼むといくらかかる?

料金は毛玉の範囲と猫の状態で変わります。部分的な処置と全身カット、鎮静の要否で幅があるため、予約のときに「毛玉が何か所ある」と伝えて見積もりを確認してください。

猫の毛玉を放置するとどうなる?

毛玉は時間がたつほど締まります。抜けた毛が次々に取り込まれ、猫が動くたびに毛どうしが絡んでフェルトのように固まっていくためです。硬くなるほど自宅では取れなくなり、その下は蒸れて赤くなり、皮膚炎につながることがあります。

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まとめ

猫の毛玉は、指で持ち上げて浮き、コームが通るものだけを自宅で、皮膚ごと引っ張られるものは動物病院かトリミングサロンに任せます。

毛玉は、できてから探すより、できる前に指が止まる場所を知っておくほうが早く済みます。脇の下、内もも、首輪の下。なでるついでに指を入れて、止まる場所がなければ、その日は何もしなくてかまいません。

この記事について

公開されている一般的な情報をもとに、ふぁみもん編集部でまとめたものです。獣医師の監修は受けていません。個々の猫の診断や治療に代わるものではありません。皮膚に赤みや傷がある場合、毛玉が広い範囲に及んでいる場合は、自宅で処置せずかかりつけの動物病院に相談してください。

出典:猫の慢性的な痛みで毛づくろいが減ることがある点は「2022 AAHA Pain Management Guidelines for Dogs and Cats」(英語)の考え方に基づいています。出典は編集部で原典にあたって確認しています。文書名で検索できます(2026年8月時点で参照)。毛玉のほぐし方、道具の扱い、ハサミやバリカンの可否については、特定のガイドラインに基づくものではなく、一般に公開されている飼い主向け情報を編集部で整理したものです。

公開:2026年9月4日/最終更新:2026年9月4日(内容は更新時点の情報です)

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