猫の下痢|24時間様子を見ていい場合と、すぐ受診すべきサイン

トイレの砂をかき出したら、固まらずに砂へ染みていた。猫の下痢に最初に気づくのは、たいていこの瞬間です。

猫のうんち(便)は本来、指でつまんでも形が崩れないくらいの硬さがあります。それが泥のようになったり、水そのものになったりしたら下痢です。ただし下痢は、フードを変えただけの一過性のものから、命に関わる病気の一症状まで幅があります。すぐ病院へ走るべきかどうかは、猫の様子とうんちの中身で決まります。

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次のどれかに当てはまれば、読むのをやめて病院へ電話を

  • ぐったりして反応が鈍い、隠れて出てこない
  • 下痢と嘔吐が同時に続いている
  • うんちが黒くてタールのようにベタつく
  • 血が混じった水のようなうんちが何度も出る
  • 歯ぐきや白目が黄色い
  • 生後6か月未満の子猫、または高齢猫の下痢
  • 半日以上、水も食事も口にしていない
  • ひも・糸・ビニールをかじった、飲んだ疑いがある。猫では腸をふさぐおそれがあり、様子見は禁物です
  • ワクチンをまだ打っていない猫の下痢と嘔吐。感染性の病気の可能性があるため、連れて行く前に必ず電話を。ほかの猫にうつる病気もあります

子猫と高齢猫は体にたくわえられる水分が少なく、半日から1日で脱水が進むことがあります。「ぐったりしているわけではないから」と待たずに、まず電話で相談してください。夜間や休日でも、電話で相談を受けてくれる病院はあります。

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元気も食欲もある成猫なら、24時間は様子を見て構いません

下痢をしていても、ごはんを普通に食べ、水を飲み、いつもの場所でくつろいでいる。この状態なら、急いで駆け込む必要はありません。原因の多くはフードの切り替えや食べ過ぎで、消化管が落ち着けば自然に戻ります。

ただし、これは生後6か月を過ぎた成猫の話です。子猫と高齢猫、持病のある猫は、元気そうに見えても24時間待たずに動物病院へ連絡してください。様子が変わってからでは間に合いません。

そして「様子を見る」は「放っておく」ではありません。見るのはここです。

  • 水を飲めているか。下痢で失われる水分を、飲み水で補えているかどうかが分かれ目になります
  • 回数が減ってきているか。減っていれば回復に向かっています。増えているなら悪化です
  • 元気の質。寝てばかりなのは下痢のときは普通です。問題は、名前を呼んでも顔を上げないときです

首の後ろの皮膚をつまんで持ち上げ、離してもすぐ戻らないときは脱水が進んでいるサインとされています。ただしこの方法は、痩せた猫や高齢猫では脱水していなくても戻りが遅く見え、逆に太った猫では脱水していてもすぐ戻ってしまいます。これで「大丈夫」と判断できる方法ではありません。

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うんちの色と混ざりもので、緊急度を見分ける

うんちの見た目は、消化管のどのあたりで何が起きているのかを推測する手がかりになります。診断そのものはできませんが、今日行くのか明日でいいのかを決めるには十分に役立ちます。

見た目 考えられること 対応の目安
茶色い泥状
(血も粘液もない)
食事の変更、食べ過ぎ、軽い胃腸炎など 元気のある成猫なら24時間は様子を見てよい(子猫・高齢猫は除く)
ゼリー状の粘液が絡む 大腸の炎症。しぶって少量ずつ何度も出るのが特徴 24時間を過ぎても回数が減らないなら受診
鮮やかな赤い血が付く 肛門に近い側(大腸・直腸)からの出血 量が少なく元気なら翌日受診、繰り返すなら当日
黒くてベタつく
(タール状)
胃や小腸からの出血が消化された状態 すぐに連絡し、当日中に受診
白っぽい・脂っぽい 脂肪の消化吸収がうまくいっていない可能性のほか、胆汁が腸に届いていないことも 数日以内に受診(歯ぐきや白目が黄色ければ当日)
白い糸状・米粒状のものが動く 寄生虫 数日以内に、うんちを持参して受診

粘液が絡む下痢は、この表より1日早めに動きます。白い米粒のようなものが動いている場合は、ノミが関わっている可能性があります。駆虫だけでは再発するため、ノミ対策も併せて相談してください。

黒いタール状のうんちは、猫砂の中では濃い茶色と区別がつきません。ティッシュに少し取って白い紙に載せると、はっきりします。

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うんちを流す前に、記録しておく

病院ではまず「いつから」「何回」「どんな状態か」を聞かれます。トイレの前でしゃがんだまま、撮るか流すか迷う数秒。そこで撮っておくだけで、診察の精度が変わります。翌日には、形も色も思い出せなくなっています。

記録するのは次の項目です。上から順に書き出せば、そのまま病院で読み上げられます。

  1. いつから始まったか(日付と、できればおおよその時刻)
  2. 1日に何回出たか
  3. 形状(泥状か、水様か)
  4. 色と、混ざっているもの(血・粘液・未消化のフード・白い粒)
  5. においがいつもと違うか
  6. 体重(キッチンスケール、または抱っこして体重計に乗り、あとで自分の体重を引く方法で構いません)
  7. 直前に変えたもの(フード、おやつ、環境、来客、新入り猫)

猫が普通にうんちをするのは1日1回か2回が目安です。2日に1回でも、硬さと量が安定していれば問題ないこともあります。逆に、1日に4回も5回もトイレに駆け込むようなら、それだけで受診の理由になります。

3日を超えたとき

一過性の下痢は、原因が取り除かれれば2〜3日で落ち着くのが一般的です。それを超えて続く、あるいは治ってはぶり返すことを繰り返す場合、検査で背景を調べる段階に入ります。

なお獣医療で「慢性の下痢」と呼ぶのは3週間以上続くものを指しますが、飼い主が3週間待つ必要はまったくありません。3日の時点で相談すれば、検査で早く原因にたどり着けます。この記事で言う「3日」は、動き出す合図のことです。

長引くほど、次のような原因が候補に挙がってきます。

原因 主な特徴
寄生虫 保護猫、外に出る猫、多頭飼育で多い。ジアルジアなどは顕微鏡でも見つけにくく、検査を数回繰り返す
食物への反応 特定のたんぱく質に反応して起きる。皮膚のかゆみを伴うこともある
炎症性腸疾患(IBD) 慢性の下痢・嘔吐・体重減少。診断には内視鏡などが必要になる
腫瘍(消化器型リンパ腫) 高齢猫の慢性下痢と体重減少では候補に挙がる。IBDと症状が似ており、区別に生検が必要とされる

このほか、高齢猫では甲状腺や肝臓・膵臓の病気が背景にあることもあります。とくによく食べているのに痩せてくる、やたらと落ち着きがないといった変化が下痢と重なっているなら、そのことも一緒に伝えてください。

どれも見た目だけで見分けることはできません。家庭で持っておくべきなのは「3日続いたら検査」という線引きだけです。とくに体重が落ちてきているなら、下痢が軽く見えても早めに獣医師へ相談してください。

フードを疑うときの、確かめ方と戻し方

下痢の直前に食事を変えていたなら、まずそこを疑います。猫の消化管は食べ慣れないものへの適応に時間がかかるため、切り替えが急だっただけで下痢をすることも珍しくありません。

元のフードに戻せる場合は、いったん完全に戻します。それで2〜3日のうちにうんちが固まれば、切り替え方の問題だった可能性が高くなります。改めて、7〜10日かけて入れ替えます。最初の2日は、新しいフードを1割だけ混ぜます。そこから2日ごとに2割ずつ増やして、10日目で全量です。途中でうんちがゆるくなったら、ひとつ前の割合に戻して3日ほど様子を見てから進めます。急ぐ理由は何もありません。

元のフードに戻しても改善しない場合は、フード以外の原因を考える段階です。自己判断で次々に商品を変えていくと、何が合わなかったのかが分からなくなり、あとで除去食による確認をするときに手がかりを失います。銘柄を変える前に、一度獣医師に相談したほうが結果的に近道です。

複数のフードを混ぜている場合、下痢の原因を切り分けられません。原因を探している間だけは、1種類に絞ってください。

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人間の下痢止めは飲ませない

人間用の胃腸薬や下痢止めを猫に与えるのは避けてください。猫は薬を分解する肝臓の働きが人や犬と異なり、人にとって安全な成分でも中毒を起こすことがあります(人用の解熱鎮痛成分や、一部の下痢止めに含まれる成分が該当します)。市販薬の箱の成分表示で判断できることは、ほとんどありません。与える前に、必ず獣医師に確認してください。

もうひとつ。原因が感染や中毒の場合、下痢は体が異物を外へ出そうとしている反応でもあります。それを薬で止めてしまうと、原因物質が腸にとどまり、かえって悪化させることがあるとされています。

犬用の整腸剤やサプリメントの流用も同じです。猫用と明記された製品を、獣医師の指示のもとで使ってください。

下痢のときにやらないでほしいこと

  • 人間用の下痢止め・整腸剤を与える
  • 牛乳を飲ませる。多くの成猫は乳糖をうまく分解できず、下痢を悪化させます
  • 人間用のスポーツドリンクや経口補水液を飲ませる。猫の体に合わせた組成ではありません
  • 丸1日以上の絶食をさせる。猫は絶食が続くと肝臓に脂肪がたまる病気を起こすリスクがあり、犬と同じ感覚で食事を抜くのは危険です
  • 脱水しているからと、スポイトで大量に水を流し込む。誤嚥の危険があります

様子を見ると決めた24時間、家でできること

できるのは、消化管の負担を減らすことと、水分を切らさないことです。

食事は、1日の総量は変えずに、いつものフードを小分けにします。1日2回を3回か4回に分ければ、1回あたりの負担が下がります。量そのものは減らさないでください。猫は食べない時間が続くこと自体が体の負担になります。半日ほどまったく口をつけないようなら、様子見は打ち切って受診に切り替えてください。

水は、器を増やして猫が普段通る場所に置きます。寝床のそば、廊下の角、階段の下り口。下痢のときは体から水分が抜けていくので、普段以上に水を切らさないでほしい時期です。飲まない猫では、ウェットフードを足して食事から水分を入れる方法もあります。
廊下の床に置かれた2つの水の器と、その奥を歩く猫

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トイレは、汚れたらすぐ取り除ける状態にしておきます。砂は普段どおりか、やや少なめで構いません。厚く入れると水っぽいうんちが染み込んで、色も混ざりものも確かめられなくなるためです。汚れたトイレを嫌って我慢する猫がいるので、こまめに取り除くことのほうが大事になります。
無地の猫用トイレにスコップで清潔な砂を入れているところ

おしりが汚れたときは、ぬるま湯で湿らせたコットンでそっと拭き取ります。嫌がって逃げる猫がほとんどなので、無理に押さえつけず、寝ている隙に一拭きするくらいで構いません。人間用のウェットティッシュはアルコールや香料が入っているものが多く、猫が舐めてしまいます。何度も下痢をしておしりの周りがただれてきたら、それ自体が受診の理由になります。

うんちやトイレを扱ったあとは石けんで手を洗います。下痢の原因には人にうつるものもあるためで、小さなお子さんや体調を崩している方がいるご家庭では特に気をつけてください。

病院へ持っていくもの

検査の精度は、飼い主が何を持ってくるかでかなり変わります。

  • できるだけ新しいうんち。親指の先ほどの量で足ります。猫砂が少し付いていても構いません
  • うんちの写真。色・量・混ざりものの記録として役立ちます。ただし、写真だけでできる検査はありません
  • 与えているフードの名前。パッケージを撮影しておくのが確実です
  • 経過のメモ。いつから、1日何回、体重の変化

うんちは、採ってから数時間以内のものが理想で、この場合は常温のまま持参します。すぐに行けないときだけ、乾かないよう包んで冷蔵庫へ(冷凍はしません)。寄生虫の種類によっては新鮮でないと検出できない検査があるため、時間が空くときは「いつのうんちを持って行けばよいか」を電話で確認してください。形が崩れていても、ペットシーツやラップに染みた分でも、少量あれば検査できる場合があります。

うんちは、多くの検査の出発点です。「持ってきていない」というだけで、その日の検査ができず、翌日もう一度連れて行くことになります。トイレ掃除の手を、一度だけ止める価値があります。

よくある質問

ストレスで猫が下痢になることはありますか?

あります。引っ越し、来客、同居猫との関係の変化、長時間の留守番などをきっかけに、軟便や下痢が出ることは珍しくありません。ただし「ストレスのせい」と決めつけると、寄生虫や食事、病気による下痢を見落とします。思い当たる出来事があっても、24時間で改善しない、血が混じる、繰り返すという場合は受診してください。

市販の猫用整腸剤やサプリは与えてもいいですか?

猫用として売られているものでも、自己判断で始める前にかかりつけの動物病院に相談してください。下痢の原因が寄生虫や誤飲の場合、整腸剤でうんちの状態だけが少し落ち着き、受診のタイミングが遅れることがあります。すでに何かの薬を飲んでいる猫では、飲み合わせの確認も必要です。

今日やること

下痢に気づいたら、流す前に写真を1枚。色と形、混ざりものが残っていれば、様子を見るか受診するかの判断も、獣医師の診察も、そこから始められます。ぐったりしている、血が混じったうんちを繰り返す、ひもをかじった疑いがある——このどれかがあれば、写真より先に電話を。

元気のある成猫なら24時間。それを過ぎても回数が減らない、あるいは3日続くなら受診。覚えておくのはこれだけで足ります。

この記事について

公開されている一般的な情報をもとに編集部でまとめたもので、獣医師の監修は受けていません。個々の猫の診断や治療に代わるものではありません。猫の年齢や持病によって適切な対応は変わります。子猫・高齢猫・持病のある猫については、必ずかかりつけの動物病院の判断を優先してください。

最終更新:2026年8月24日(内容は更新時点の情報です)

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