猫におやつは必要?あげない選択と、無添加・手作りの見分け方

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ペット売り場の棚が、一段まるごと液状おやつということがあります。それだけ並んでいると必需品のように見えますが、フードの分類でいうと、おやつは「間食」です。栄養をまかなう役目は、最初から与えられていません。

急いでいる方へ

玉ねぎ・長ねぎ・にら・にんにくの入ったものを食べてしまった場合は、量が少なくても様子を見ないでください。家庭で吐かせようとせず、食べたもの・量・時刻を控えて動物病院に連絡してください。

おやつも含めて24時間なにも口にしない場合も、様子見ではなく受診してください(子猫は目安が異なります)。詳しくはおやつすら食べないときに書きました。

まず結論:主食が総合栄養食ならおやつは不要、与えるなら1日の総カロリーの1割までです

主食に総合栄養食を与えていれば、おやつは栄養面で必要な食品ではなく、与えなくても不足は起きません。与える場合の上限は1日の総カロリーの1割、4kgの成猫なら約24kcalです。

理想体重 1日の総カロリー おやつの上限(1割)
3kg 約190kcal 約19kcal
4kg 約238kcal 約24kcal
5kg 約280kcal 約28kcal

上の総カロリーは「70×体重(kg)の0.75乗×1.2」という一般的な計算式による概算で、避妊・去勢を済ませた、活動量が標準的な成猫を想定しています。成長期の子猫、避妊・去勢をしていない猫、妊娠・授乳中の猫、減量中の猫は必要量が変わるので、この表は当てはまりません。理想体重がわからない場合は、直近の健診で言われた適正体重か、1歳ごろの体重が目安になります。

「1割」という割合は、資料によって1〜2割と幅のある考え方です。ふぁみもんでは体重管理の観点から、厳しめの1割を採っています。

液状おやつは、店頭で見るかぎり1本あたり10kcal前後の製品が多く、7kcalのものも15kcalのものもあります。4kgの猫なら、7kcalの製品で3本、15kcalの製品では1本半で上限です。同じ「2本」でも収まるかどうかは製品次第で、答えはパッケージのkcal表示にあります。

減らす側の換算も同じです。ドライフードは製品にもよりますが1gあたり4kcal前後なので、15kcalのおやつを1本与えた日は、ドライを約4g減らせば釣り合います。

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「間食」は、主食の代わりにはなりません

間食とは、量を限って与えることが前提の食品で、栄養をまかなう総合栄養食とは表示ルール上はっきり役割が分かれています。

区分 役割 主食にできるか
総合栄養食 これと水だけで必要な栄養がとれる できる
間食(おやつ・スナック) おやつ・ご褒美・コミュニケーションの手段として、限られた量を与える できない
療法食 特定の病気や健康状態の食事管理に、獣医師の指導のもとで用いる 獣医師の指示による
その他の目的食 特定の栄養の調整・補給、嗜好性の増進など(上の3つ以外) できない

療法食は、獣医師の指示のもとで主食として使うフードです。自己判断で始めたりやめたりせず、かかりつけの指示に従ってください。

どの区分にあたるかは、たいていパッケージの原材料表示の近くに小さく書かれています。

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あげないと決めても、困ることはほとんどありません

おやつを一度も与えていない家庭でも、猫の健康や飼い主との関係に不都合が出ることはまずありません。困るとすれば、猫がすでにおやつを覚えていて、要求が習慣になっている場合です。

「おやつを食べないとかわいそう」と感じるのは自然なことですが、栄養の面では、その心配は要りません。主食が総合栄養食であれば、必要な栄養はそれだけで足りています。楽しみやごほうびは、遊びやブラッシングでも代わりになります。

引き出しに手をかけただけで、寝ていた猫が耳をこちらに向けます。反応しているのはおやつそのものではなく、その前に必ず起きる音のほうです。

やめる場合、いきなりゼロにすると要求鳴きが強くなります。開封後に分けて使える製品なら、減らすのは1日の合計量で、与える回数は変えません。1日1本を3回に分けていたなら、翌週は1日の合計を半本にして、それを同じ3回に分けます。その次の週は、1日の合計を4分の1本にします。回数は3回のままです。1回にもらえる量は減りますが、猫が気にするのは「もらえるかどうか」で、量の差は思うほど意識されません。

1本を半分だけ使う日は、残りをどうするかを先に決めておきます。液状おやつは「開封後は使い切る」と書かれている製品が多いので、まず袋の裏を確認してください。使い切る指定があるなら、半分に割る方法は使わず、もともと容量の小さい製品に変えるか、次の章の「カリカリを取り分ける」方法に切り替えるほうが無駄がありません。

どの形で使う場合も、スティックの袋は与えたらすぐ手元に戻します。噛みちぎった切れ端やフィルムを飲み込むと、腸に詰まることがあります。

要求が「急に」増えたときは

もともとそうではなかったのに最近になって要求が増えた、よく食べるのに体重が減っている、水を飲む量やおしっこの量が増えた、夜に大きな声で鳴くようになった。こうした変化を伴う場合は、甲状腺機能亢進症や糖尿病が背景にあることがあります。とくに7歳以上の猫では、与え方を工夫する前に一度受診してください。

いつものカリカリを取り分けるのが、いちばん確実な方法です

ふだん食べているドライフードを1日の量から取り分けておやつに使う方法なら、1日の総カロリーが1kcalも増えません。

朝に1日分を計量した時点で、5〜10粒を、猫の手が届かない棚の小さな空き容器に移します。袋のまま横に置くと、取り分けたこと自体を忘れて夕方にもう一度あげてしまいます。この数粒を、爪切りのあとや帰宅時に手から与えます。猫にとっては「特別なタイミングで手からもらえる粒」であり、中身が主食と同じかどうかは大きな問題になりません。

多頭で暮らしている場合は、取り分けた粒を全員ぶん用意します。1匹だけ手からもらっていると、横から入ってくる猫のほうが先に覚えます。

減量中の猫、腎臓病などで療法食を食べている猫では、この方法がとくに向いています。療法食の猫に市販のおやつを与えると、制限しているはずの成分が入ってきます。療法食にはおやつ用の製品が用意されていることもあるので、かかりつけに聞いてみてください。

ドライフードを数粒だけ小さな空き容器に取り分けたところ

おやつが役に立つのは、投薬・処置・食欲の確認の3場面です

おやつが道具として働くのは、薬を飲ませるとき、爪切りのあと、そして食欲の変化に気づくときの3つの場面に限られます。

  1. 投薬:錠剤を包める投薬用おやつは、口をこじ開ける回数を減らせます。ただし療法食を食べている場合や投薬中は、先にかかりつけに聞いてください。薬によっては一緒に与えてはいけない食品があります
  2. 爪切り・ブラッシングなどの処置:終わった直後に出すと、猫のほうが「これが終わればもらえる」と覚えます。処置の前ではなく、必ず終わったあとです
  3. 食欲の確認:ふだんは飛んでくるのに、おやつに反応しない日がある。これは早い段階の異変のサインになります

おやつすら食べないとき

成猫で、おやつも含めて24時間なにも口にしない場合は、様子見ではなく受診してください。猫は食べない期間が続くと肝リピドーシス(脂肪肝)という肝臓の病気を起こすことがあり、太り気味の猫では短期間で重くなります。

子猫は体力の余裕が小さく、離乳後の子猫で12時間、まだミルクを飲んでいる時期の子猫では数時間食べないだけでも低血糖や脱水を起こすことがあります。子猫の場合は時間を待たず、早めに動物病院に連絡してください。

あわせて、繰り返し吐く/ぐったりしている/隠れて出てこない/トイレに何度も行くのに尿が出ない、といった様子があれば、時間帯を問わず動物病院に連絡してください。

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おやつを選ぶときに見るのは、パッケージの3か所です

おやつ選びで確認する必要があるのは区分表示・カロリー・原材料の3か所で、それ以外の売り文句は判断材料になりません。

この3か所を見る

  • 区分表示(「間食」と書かれているか)
  • カロリー(1本または1袋あたりのkcal。100gあたりしか書いていない製品は、内容量から割り出します)
  • 原材料(先頭に書かれているものほど多く入っています。高価格帯の製品は「かつお」「鶏むね肉」のように素材名が具体的で種類も少なく、低価格帯では「肉類」「魚介類」のようなまとめ表記が増えます。価格差はたいていここに出ます)

判断材料にならないもの

  • 「猫が喜ぶ」「食いつき抜群」といった表現
  • 「獣医師推奨」の一言だけで、誰がどんな根拠で推奨したのか書かれていないもの

なお、区分表示のそばには子猫用・シニア用の指定や内容量も書かれています。開封後に使い切れる量かどうかは、内容量と1本あたりのkcalを合わせて見れば分かります。

値段が高いほど猫にいい、とは限りません。見る順番は、区分表示とカロリー、次に原材料、価格はそのあとです。

ただしこれは健康な成猫の場合です。療法食を食べている猫、食物アレルギーの検査(除去食試験)をしている猫では、おやつを一口与えるだけで検査が成り立たなくなります。この場合は自己判断で与えず、かかりつけの動物病院に相談してください。

「無添加」は、その文字のとなりまで読んで判断します

「無添加」とだけ書かれた表示に統一された決まりはなく、着色料だけを指す場合も、保存料や酸化防止剤まで含む場合もあります。

確かめ方は単純です。「着色料・香料無添加」のように対象が明記されていれば、何が入っていないのかがわかります。「無添加」とだけ書かれていて対象がわからない表示なら、そこは読み飛ばして、原材料の1〜3番目に何が並んでいるかを見るほうが、間違いがありません。

なお、酸化防止剤が入っていないことは、必ずしも良いことではありません。油脂は酸化します。無添加をうたう製品ほど、開封後は早めに使い切る前提で作られており、小分けや個包装になっているのはそのためです。開封後をどう保存する製品なのかは、袋の裏に書いてあります。

手作りには、気をつけたい点と与えてはいけない食材があります

手作りおやつで注意するのは、玉ねぎ・長ねぎ・にら・にんにくといったネギ類と、人間用の味付けの2つで、事故は具材そのものよりゆで汁で起きます。ネギ類は猫の赤血球を壊し、貧血を起こします。

ゆで汁のどこが危ないかというと、玉ねぎを煮た汁、市販のだしの素、コンソメに、ネギ類の成分や塩分が溶け込んでいることです。「玉ねぎは入れていない」つもりでも、汁を使えば同じことになります。

塩分・砂糖・油も加えません。猫にとってのおいしさは味付けではなく、においと温度、それに食感が大きく関わります。人肌に温めるとにおいが立ち、皿を置く前に足元へ回り込んでくる猫もいます。電子レンジを使ったときは、加熱むらで口の中をやけどさせないよう、よく混ぜて必ず指で温度を確かめてください。

いちばん簡単な手作り:ゆで鶏

  1. 鶏むね肉の皮と脂を取り除き、ひと口大に切ります
  2. 水だけで、味付けをせずに10分ほどゆでます
  3. 粗熱を取り、人肌まで冷ましてから手で細く裂きます
  4. 1回に与えるのは指先ほど(約5g・約6kcal)まで、1日では多くても2〜3回。1日の上限(4kgの成猫で約24kcal)の枠内に収めます
  5. 残りは冷蔵で2日、小分け冷凍で2週間が目安です

ゆで汁は使いません。だしの素やコンソメも加えません。

腎臓病などで療法食を食べている猫には、ゆで鶏を自己判断で与えないでください。制限しているはずの成分が入ってしまいます。

味付けをせずにゆでた鶏むね肉を細く裂いたところ

生の食材で気をつけること

生の食材には、加熱すれば避けられるものと、加熱しても残るものがあります。

  • 生の魚には、ビタミンB1を壊す酵素(チアミナーゼ)を含むものがあります。生のまま多く与え続けると不足しますが、これは加熱すれば防げます
  • 一方、アジ・サバ・イワシなどの青魚は加熱しても問題が残ります。長く多く与えると、体の脂肪に炎症が起きる病気(黄色脂肪症)の要因になり得ます。魚は加熱の有無にかかわらず、たまに少量までです
  • 生卵の白身も避けます。含まれるアビジンがビオチンの吸収を妨げるほか、生では細菌のリスクも残ります

与えてはいけない人の食べ物

牛乳は避けます。多くの成猫は乳糖をうまく消化できず、下痢の原因になります。

チョコレートやココア、コーヒー・紅茶・エナジードリンクも与えません。テオブロミンやカフェインは猫では中毒を起こします。「ひとかけらだけ」も避けてください。

ネギ類やチョコレートを食べてしまったときは

量が少ないから大丈夫、という自己判断はしないでください。家庭で吐かせようとしないでください。オキシドールや食塩を飲ませて吐かせる方法が紹介されていますが、猫では胃腸を傷めます。催吐が必要かどうかは動物病院が判断します。

中毒の症状は、原因によって出方が違います。

ネギ類は、食べた直後ではなく数日たってから症状が出ることがあります。赤〜茶色い尿、歯ぐきが白っぽい、元気がない、呼吸が速い。直後に元気でも安心しないでください。ネギ類は加熱しても毒性はなくなりません。

チョコレート・カフェインは逆に、数時間のうちに嘔吐、落ち着きなく動き回る、体のふるえ、心臓がドキドキするといった様子が出ることがあります。症状を待たずに連絡してください。

どちらの場合も、家庭で処置せず、すぐ動物病院へ連絡してください。

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よくある質問

おやつをやめるとき、選ぶとき、手作りするときに迷いやすい点を、質問の形でまとめました。

猫がおやつを催促して鳴くときは、あげたほうがいい?

鳴いたときに出すと、鳴けばもらえることを覚えます。与える時間を決めて、鳴いていないときに出してください。ただし、要求が最近になって急に増えたのであれば、しつけの問題として扱う前に受診が先です(要求が「急に」増えたときは)。

多頭飼いで、1匹だけおやつが必要なときは?

別の部屋に連れて行き、扉を閉めて与えます。同じ場所で1匹だけに与えると、他の猫が横取りを覚えて食事のたびに競うようになります。療法食や投薬で1匹だけに与える必要がある場合は、部屋を分けるのが確実です。

おやつは無添加のものを選ぶ意味がある?

「無添加」の表示だけで判断する意味はあまりありません。対象が明記されていない表示は情報になりません。それより原材料の1〜3番目に具体的な素材名が並んでいるかを見るほうが、中身の判断としては確実です。

猫のおやつは市販と手作り、どちらがいい?

どちらでもかまいませんが、手作りは味付けとゆで汁の管理がすべてです。ネギ類とだしの素を使わず、ゆで鶏のように材料が1つで済むものから始めてください。療法食を食べている猫には、自己判断で手作りを与えないでください。

子猫にはいつからおやつをあげていい?

離乳が終わり、総合栄養食をきちんと食べられるようになってからが目安です。成長期は必要な栄養が多く、おやつで主食が入らなくなるほうが問題になります。

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まとめ

おやつは必需品ではなく、与えるなら1日の総カロリーの1割まで、選ぶときは区分表示・カロリー・原材料の3か所を見れば足ります。

それでもあげたいなら、決めるのは本数ではなくkcalのほうです。手元の袋の裏を見て、1本が何kcalか。それがわかれば、上限の何本目にいるかはその場で決まります。

この記事について

公開されている一般的な情報をもとに、ふぁみもん編集部でまとめたものです。獣医師の監修は受けていません。個々の猫の診断や治療に代わるものではありません。持病のある猫、療法食を食べている猫、妊娠・授乳中の猫、子猫については、必ずかかりつけの動物病院の指示を優先してください。

出典:フードの区分と表示の考え方は一般社団法人ペットフード公正取引協議会「ペットフードの表示に関する公正競争規約」および環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」、エネルギー要求量の計算式の考え方は WSAVA「Global Nutrition Guidelines」(英語)を参照しています。出典はリンク切れを避けるため、文書名のみを記載しています(2026年8月時点で参照)。本文中のkcalの数値は上記の計算式による概算で、特定の文書が示した値ではありません。「1割」という上限は、資料に1〜2割の幅があるなかで編集部が採った基準です。

公開:2026年8月31日/最終更新:2026年8月31日(内容は更新時点の情報です)

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