猫の吐いたもの|色と中身でわかること、すぐ受診すべきサイン

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吐いたものが茶色・黒(コーヒーかす様)・赤・濃い緑のいずれかなら、元気そうに見えてもその日のうちに動物病院へ電話してください。消化管からの出血や、腸の内容物の逆流かもしれません。それ以外の色は、色ではなく「今週これで何回目か」で判断します。

どの色であっても、片づける前にスマホで1枚撮っておいてください。受診したときに伝えられる情報が変わります。

色より先に確かめる3つ:呼吸、おしっこ、口に入ったもの

この3つは嘔吐の色にかかわらず、夜間であっても電話をしてから向かう状態です。

  1. 呼吸 口を開けて呼吸している、舌や歯ぐきが青紫や白っぽい、横になれずうずくまる。移動そのものが負担になるので、動かす前に電話を入れ、そのまま向かってください
  2. おしっこ トイレに何度も入るのに尿が出ない、少量しか出ない、排尿のときに鳴く、陰部をしきりに舐める。砂の塊がいつもより小さい、または見当たらないのも同じサインです。力む姿は便秘とそっくりですが、とくにオス猫では尿道閉塞のことがあり、こちらは救急です。嘔吐の有無にかかわらず、夜間でも電話してください。閉塞したままだと24〜48時間で腎臓や心臓に重い影響が出るとされ、遅れるほど命に関わります
  3. 口に入った可能性のあるもの 次のどれかに心当たりがあれば、症状がなくても今すぐ電話してください。中毒は症状が出てからではなく、口に入った直後からどれだけ早く処置に入れたかで結果が変わります
    • ユリ属(テッポウユリ、オニユリ、カサブランカなど)とヘメロカリス(デイリリー):花粉をなめる、花瓶の水を飲むだけでも重い腎障害を起こします。ヘメロカリスは「ユリ科」の表記からは漏れやすいので、名前ではなく花の見た目で疑ってください。しばらく変化が出ないこともあるため、症状の有無で判断しないこと。なお、スパティフィラムやカラーなど「リリー」とつく別の植物は、ユリ属のような腎障害ではなく口の中の強い刺激やよだれを起こします。危険の種類が違うだけで、放置してよいものではありません
    • ヒト用の解熱鎮痛薬:とくにアセトアミノフェンは、猫がこの薬を無害化する仕組みをほとんど持たないため、ごく少量でも中毒を起こします。歯ぐきが茶色っぽく変わる、顔や前足がむくむ、呼吸が速くなるという形で出ます
    • 犬用のノミ・ダニ駆除剤:猫に使うと、震えやけいれんを起こすことがあります
    • スズラン:心臓に作用します。生けてあった花瓶の水も危険です
    • 不凍液、殺虫剤、精油:いずれも少量で中毒を起こします

    種類が分からなければ、現物をそのまま持って行くと判断の助けになります

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まず結論:色ではなく回数で判断する。週1回を超えるなら受診

週1回を超えて吐く状態が続くなら、色にかかわらず動物病院で診てもらってください。色から分かるのは、それがどこで出たものかという手がかりです。

吐いたものの色・状態と、受診の目安
吐いたものの色・状態 考えられる正体 受診の目安
茶色・黒(コーヒーかす様) 消化された血液の可能性 当日中に電話し、指示を受けて受診
赤い血が混じる 口から胃までのどこかの出血の可能性 当日中に電話し、指示を受けて受診
濃い緑色・便のようなにおい 腸の内容物の逆流の可能性 当日中に電話し、指示を受けて受診
ひも状・ビニール片が混じる 異物 当日中に受診。口や肛門から出ている部分は引っぱらない
白い泡 胃液と唾液 1回きりで元気なら経過観察。週1回超が続くなら次の診察時間内に受診
黄色い液 胆汁 白い泡と同じ。明け方に集中するなら食事の配分を先に見直す
透明で水っぽい 飲んだ水、唾液 飲む量が明らかに増えているなら次の診察時間内に受診
未消化のフード 早食い、一度の量が多い、食道の問題 筒状のまま力まずに出る(吐出)なら食道の問題の可能性があり、次の診察時間内に受診。力んで吐くなら与え方を調整
毛玉 飲み込んだ被毛 月1回を超えるなら次の診察時間内に受診

茶色・黒、赤、濃い緑色、ひもやビニールが混じるときは、元気があっても様子を見てはいけません。ここに載っていない色や状態で迷ったときも、様子見と決めずに一度電話してください。

なお、呼吸が苦しそう、尿が出ない、毒物に触れた可能性がある。このどれかがあるときは、吐いたものが何色でも、夜間であっても電話してから向かってください。

白い泡と黄色い液は、どちらも空腹の時間が長いときに出る

夜の最後のごはんが19時、朝が7時なら12時間。この空白のあいだ胃酸は出続け、空の胃を刺激します。

白い泡はこのとき出る胃液と唾液、黄色い液は腸から逆流した胆汁です。胆汁は本来、腸に流れ出て脂肪を乳化し、消化酵素が働きやすくするために分泌されるものです。胃が空のまま時間が経つと、腸から胃へ戻りやすくなります。そのため対処も共通で、夜の1回を寝る直前にずらすか、1日分を3〜4回に割って最後の1回を遅くします。1日の総量は変えません。増やせば今度は体重が過剰になります。

見ておきたいのは時間帯です。明け方に集中するなら配分の話ですが、夕方でも夜中でも食後でも吐く、というように時間が定まらないときは、胃腸そのものを調べたほうがよいでしょう。

配分を変えて2週間ほどで頻度が減るかを見ます。ただし、体重が落ちてきた、吐く回数が増えている、元気や食欲が落ちたという場合は、2週間を待たずにその時点で受診してください。家庭で試す調整は、元気で体重が保たれている猫が対象です。
ドライフードの器と、離して置いた浅く広い水の器

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透明で水っぽいものは、飲む量が増えていないかを先に見る

気にすべきは吐いたものではなく、水の減り方です。器を足す回数が前より増えているなら、慢性腎臓病・甲状腺機能亢進症・糖尿病を調べる理由になります。吐いたもの自体は飲んだ直後の水であることが多く、器を浅く広いものに替えて少量ずつ飲める場所を複数つくると、一気飲みによる嘔吐は減ることがあります。

多飲かどうかは、器から飲んだ量で見る

器から飲む量が体重1kgあたり100mlを超えれば多飲です。4kgの猫なら1日400mlが境目になります。ただし100mlに届くまで待つ必要はありません。絶対量より「前より明らかに飲む」「水の減りが早くなった」という変化のほうが、早い手がかりになります。元気なうちに1週間だけ器に入れた量と残りを量っておくと、あとで比べられます。

ウェットフード中心の猫が器からほとんど飲まないのは正常です。なお、よく見る「体重1kgあたり50ml」はフードの水分も含めた1日の必要量で、多飲の基準とは別物です。

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茶色・黒・赤と濃い緑は、元気でも当日中に電話する

コーヒーかすのような茶色や黒い嘔吐は、胃や腸で出た血液が胃酸で変色したものであることがあり、赤い血がそのまま混じる場合も同じです。どちらも、その日のうちに動物病院へ電話し、指示を受けてから向かってください。

濃い緑色で便のようなにおいがするときは、腸の内容物が逆流している可能性があり、腸閉塞を含めて考えます。こちらもその日のうちに電話し、指示を受けてから向かってください。

もちろん、茶色いフードやおやつを食べた直後なら、単に食べたものの色ということもあります。それでも自己判断は避けてください。胃潰瘍や腫瘍からの出血は、初期には「元気だけれど時々吐く」としか出てこないからです。

未消化のフードは、力んで出すか、力まずに出るかで意味が変わる

食後30分以内に粒の形のまま出てくるときは、お腹を波打たせて力んでいるかどうかを見てください。力むのが嘔吐、力まずに筒のような形のままぽろりと出るのは「吐出」と呼ばれ、胃ではなく食道の問題を示していることがあります。

嘔吐のほうなら、早食いか一度に食べる量が多すぎることが多いものです。1回量を減らして回数を増やすだけで止まる猫がいます。突起のある早食い防止用の皿や、フードを転がして出すおもちゃも使えます。ただし突起の間にウェットが残って洗いにくいので、ドライ専用と割り切っている家庭が多いようです。多頭飼いでは、取られる前に飲み込む競争が原因のこともあり、器を離す、部屋を分けるといった配置の工夫が効きます。

吐出のほうは、器を替えても改善しません。食道炎、食道狭窄、食道内の異物などが背景にあり、診断の道筋がまったく別になります。動画を撮って受診してください。

フードの与え方で注意したいこと

  • 吐いた直後に「食べていないから」と追加で与えると、また吐くことがあります。2〜3時間あけてから、いつもの半量で再開してください
  • ふやかす場合は傷みやすいので、食べ残しを置きっぱなしにしないこと(なお「ドライなら歯石がつかない」という説は、現在では否定的に見られています)
  • フードを変えるときは7〜10日かけて混ぜる割合を変えます。急に全量を切り替えると、それ自体が嘔吐や下痢の原因になります

毛玉を吐くのは月1回まで。それを超えるなら受診

月1回程度までが目安で、それを超える頻度が続くなら、消化管の動きや皮膚の状態を調べる理由になります。「猫は毛玉を吐くもの」とよく言われますが、月1回を超える頻度は、健康な猫では一般的ではありません。

背景はいくつかあります。換毛期にあたる(室内飼いでは年間を通して抜けることもあります)、長毛種である、加齢で毛づくろいの時間が延びている、皮膚炎やノミのかゆみで舐める回数が増えている。ストレスから過剰に毛づくろいする猫もいます。

家でできるのはブラッシングです。換毛期にブラシを入れると、抜け毛が塊で取れます。短毛種なら週2〜3回、長毛種なら毎日が目安です。飲み込む量そのものを減らすのが、家庭でできる対策の基本になります。
猫の背中をブラシでとかしている手元と、ブラシに付いた抜け毛毛玉ケアをうたったフードは食物繊維の配合を調整したもので、併用する選択肢の1つですが、ブラッシングの代わりにはなりません。

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吐く動作をくり返しても何も出ないときは、咳かもしれません

夜中の「ケッ、ケッ」という音で目が覚めて、電気をつけると床には何も落ちていない。この状態が1日に何度も続くときは、まず直前にトイレで力んでいなかったか、尿が出ているかどうかを確かめてください。何も出ない吐く動作は、消化管の閉塞や尿道閉塞でも起こります。その場合は夜間でも電話してから向かってください。

尿の問題が否定できるなら、次に疑うのは猫喘息などの咳です。発作の動画を撮って受診してください。

猫の咳は、犬や人と姿勢が違います。前足を踏ん張り、首を低く伸ばして体を波打たせる——毛玉を吐こうとしている姿にそっくりです。猫喘息の咳を「毛玉が出ない」と受け取ってしまい、受診が数か月遅れる例は珍しくありません。

見分ける手がかりは、終わったあとに何か出るかどうかです。何度くり返しても毎回何も出ないなら、呼吸器を疑ってください。動画があれば、診察室で再現できなくても判断材料になります。発作のあとに口を開けて呼吸しているなら、疑うより先に、移動の前に電話を入れてください。

様子を見てはいけないとき

当日中に電話が必要なのは、茶色・黒・赤や濃い緑の嘔吐、1日に3回以上吐くとき、吐いたあと元気がないとき、異物が混じるときです。呼吸・おしっこ・口に入ったものの3つは、夜間でも電話です。

  • 茶色・黒・赤、濃い緑色、便のようなにおいが混じる
  • 1日に3回以上吐く
  • 吐いたあとぐったりしている、隠れて出てこない
  • 水を飲んでも吐く、丸1日食べない
  • ひもや布、ビニールが混じっている(出ている部分は絶対に引っぱらないでください)

これらに当てはまらなくても、週1回を超えて吐く状態が続くなら次の診察時間内に受診してください。慢性的な嘔吐や体重減少があり、検査の結果、腸の病気が疑われて生検まで進んだ猫を調べた複数の報告では、その多くで炎症性腸疾患や消化器型リンパ腫が見つかっています。すでに症状が続いている猫を対象にした調査なので、吐く猫の大半がこれらの病気だという意味ではありません。それでも「よく吐く子だから」で片づけない根拠にはなります。

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動物病院で伝える5つのこと

猫は、診察室では吐きません。そのため飼い主が持っていく情報が、そのまま診断の材料になります。

  1. 吐いた回数と、それが何日続いているか
  2. 色と内容物(写真か動画)。力んでいたかどうかも
  3. 食事との時間関係(食後すぐ/明け方/無関係)
  4. 飲水量と尿の量、便の状態
  5. 体重の変化、ひもやおもちゃ、ビニールを飲み込んだ可能性、室内の植物やヒト用の薬に触れた可能性、飲んでいる薬やサプリメント

吐く回数を減らす4つの見直し

受診して病気がないと確認できた場合、家でできるのは食事を1日3〜4回に分ける、早食いを止める、ブラッシングを増やす、水飲み場を複数置くの4つです。効いたかどうかは2週間単位で頻度を比べて判定します。

フローリングならまだいいほうで、カーペットだと乾く前に取らないと跡が残ります。回数が減れば、その手間ごと減ります。

判定のしかた

  • 変えるのは1つずつ。同時に4つ変えると、何が効いたのか分からなくなります
  • 比べるのは2週間の回数。「なんとなく減った気がする」は、翌週にはもう思い出せません
  • 記録は写真で足ります。あとから数え直せます
  • 2週間で変わらなければ、次の1つに移るのではなく受診に切り替えてください

「だいたい週1回くらいです」と答えるのと、「7月20日から週2回、いつも明け方です」と答えるのとでは、診察の進み方が変わります。

よくある質問

猫が吐くのは何回までなら様子を見ていいですか?

1回吐いたあと元気にしていて、食欲も普段どおりなら、その日は様子を見て構いません。ただし1日に3回以上、または週1回を超える状態が続くなら、元気があっても受診してください。

猫が黄色い液を吐くのはなぜですか?

空腹の時間が長くなり、腸から胃へ胆汁が逆流したものであることが多く、明け方に集中するのが典型です。1日の量は変えずに回数を増やし、最後の1回を寝る直前に置くと減ることがありますが、時間帯に関係なく週に何度も吐く場合は受診してください。

猫が茶色いものを吐きました。様子を見て大丈夫ですか?

コーヒーかすのような茶色や黒い嘔吐は、消化管の出血が胃酸で変色したものである可能性があるため、様子を見ずにその日のうちに電話してください。茶色いフードを食べた直後という可能性もありますが、自己判断で線を引かないでください。

吐いたあと、いつからご飯をあげていいですか?

2〜3時間あけて、いつもの半量から再開するのが目安です。ただし猫は、犬と違って絶食が長引くと肝臓に負担がかかるとされています。「吐くから食べさせない」を半日以上続けるのは避け、食べられない状態が続くなら受診してください。

吐いたあとすぐ水を飲みたがります。飲ませていいですか?

少量なら構いません。一気に飲むとまた吐くことがあるので、大きな器を置きっぱなしにせず、10〜15分おきに少しずつ出してください。取り上げるのではなく、出し方を変えるのが目的です。とくに腎臓や糖尿病の持病がある猫では、飲めないこと自体が負担になります。水を飲むたびに吐く状態が続くなら、その日のうちに電話してください。

多頭飼いで、どの猫が吐いたか分からないときは?

まずは全頭の食欲と元気、トイレの様子を確認してください。そのうえで、しばらく部屋を分けて過ごしてもらうと特定できることがあります。分からないまま繰り返すなら、心当たりのある猫だけでなく全頭を診てもらうほうが早く片づきます。

まとめ

猫の嘔吐は、色ではなく頻度で判断します。週1回を超えて続くなら受診してください。

ただし例外があります。茶色・黒・赤・濃い緑の嘔吐は、元気でもその日のうちに電話してください。

呼吸が苦しそう、尿が出ない、毒物に触れた可能性がある。この3つは夜間でも今すぐ電話し、それから向かってください。

次に吐いたときは、片づける前にスマホで1枚撮ってください。日付が自動で残るので、それだけで頻度の記録になります。

この記事について

ふぁみもん編集部が、公開されている一般的な情報をもとにまとめたもので、獣医師の監修は受けていません。個々の猫の診断や治療に代わるものではありません。持病のある猫、子猫、シニア猫、妊娠・授乳中の猫については、必ずかかりつけの動物病院の指示を優先してください。

慢性の嘔吐と消化管の病気の関連は、猫の消化管生検を扱った複数の報告(JAVMA・英語)を、フードの表示と与え方は環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」を参照しています。1日の水分要求量(体重1kgあたり50ml)と多飲の目安(同100ml)、絶食と肝リピドーシスの関係、尿道閉塞の経過時間、および中毒に関する記述は、いずれも小動物内科で一般に用いられている情報にもとづくものです。中毒が疑われるときは、記事の内容で判断せず動物病院に連絡してください。

公開:2026年8月24日/最終更新:2026年8月28日(内容は更新時点の情報です)

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