グレインフリーのキャットフードは必要?表示欄の4項目で選ぶ

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ホームセンターの棚で、1.5kg入りのグレインフリーに4,000円近い値札が付いていました。隣に積まれた同じ容量の一般的なドライは1,000円台。銘柄にもよりますが、2〜3倍の開きは珍しくありません。裏返して原材料を読むと、確かに米も小麦もトウモロコシも入っていません。代わりに、えんどう豆とじゃがいもが上のほうに並んでいます。

グレインフリーかどうかで選ぶ必要は、ほとんどの猫にはありません。判断に使えるのは、パッケージの表示欄の4項目——ライフステージ、目的の表示、原材料の並び、成分値です。順位付きの一覧を追いかけるより、この4つを自分で読めるようになるほうが早く済みます。

まず結論:ほとんどの猫に必要はなく、見るのは表示欄の4項目です

グレインフリーかどうかで選ぶ必要は、ほとんどの猫にはありません。穀物を抜いたこと自体が体によいという根拠は乏しく、価格は一般的なドライの2〜3倍になることもあります。フードを選ぶときに実際に使えるのは、パッケージの表示欄にある次の4項目です。

  • ライフステージ……「子猫用」「成猫用」「全年齢用」が今の猫に合っているか
  • 目的の表示……「総合栄養食」と書かれているか(なければ主食にはできません)
  • 原材料の並び……上位に肉や魚があるか、豆やいもが占めていないか
  • 成分値……粗たんぱく質。ドライの成猫用なら表示値28〜34%あたりが目安

グレインフリーを選ぶ理由がはっきりあるのは、獣医師から穀物を避けるよう言われている猫と、動物性原料の比率が高い製品を探している場合です。それぞれの根拠は、この後で順に説明します。

グレインフリーで抜いているもの、足しているもの

グレインフリーのフードが除いているのは、トウモロコシ・小麦・米・大麦などの穀物です。ただし、抜いた分だけ量が減るわけではありません。ドライフードは粒の形を保つのにデンプン質が要るため、多くの製品では穀物の代わりになる原料が入ります。

置き換えによく使われるのは、えんどう豆・ひよこ豆・レンズ豆といった豆類と、じゃがいも・さつまいも・タピオカです。

グレインフリー=低炭水化物、ではありません。豆類やいも類も炭水化物源です。糖質を抑えたいという目的でフードを探しているなら、グレインフリーの表示ではなく成分値で比べる必要があります。炭水化物量の記載がなければ、たんぱく質・脂質・繊維・灰分・水分の合計を100から引くとおおよその値が出ます。ただし成分表示は「○%以上」「○%以下」という下限・上限値なので、あくまで目安です。

グレインフリーとは、炭水化物の原料を入れ替えた設計です。量を減らす設計ではありません。置き換えの結果、炭水化物の総量が一般的なドライフードとほとんど変わらない製品もあります。

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猫の食物アレルギーで多いのは、穀物ではありません

グレインフリーが広まった背景には「穀物はアレルギーの原因になる」という説明があります。ところが猫の食物アレルギーで報告が多いのは、牛肉・魚・鶏肉・乳製品といった動物性たんぱく質のほうです。穀物が原因になることもありますが、上位ではありません。

ここに一番大きな誤解があります。皮膚をかゆがる、慢性的に便がゆるい——その原因が魚だった場合、グレインフリーに変えても症状は変わりません。魚を主原料にした製品も少なくないため、かえって悪化することもあります。

食物アレルギーが疑われる猫では、「除去食試験」と呼ばれる方法で原因を探ります。原因になりにくいたんぱく質だけを一定期間与えて反応を見るやり方で、たんぱく質を細かく分解した加水分解たんぱく食や、その猫が食べたことのないたんぱく源を使った療法食を、獣医師が症例ごとに選びます。

期間はおおむね8週間、場合によってはそれ以上。その間はおやつも、味付きの投薬補助食も、他の猫のフードの盗み食いも一切なしです。期間が短いと「食事は原因ではなかった」と誤って結論づけてしまうため、自己判断で切り上げないことが大切だとされています。市販のグレインフリーに切り替えるだけでは、この確認になりません。

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では、誰に向いているのか

穀物が原因ではないなら、グレインフリーに意味はないのかというと、そうでもありません。選ぶ理由になるのは、だいたい次の2つです。

  • 獣医師から穀物を避けるよう言われている猫。検査や除去食試験で穀物への反応が確かめられている場合です。これが最も明確な理由になります
  • 動物性原料の比率が高い製品を探している場合。肉や魚を主原料に置いた設計の製品が多くあります

ただし2つ目には注意点があります。グレインフリーであること自体は、動物性たんぱく質の多さを保証しません。えんどう豆などを多く使う製品では、豆由来の植物性たんぱく質が成分表の粗たんぱく質を押し上げていることがあります。数値ではなく、原材料表示の上位に何が並んでいるかで判断してください。

逆のケースも書いておきます。次の状況に当てはまる猫では、グレインフリーを選ぶ優先度は下がります。

  • 今のフードで体調も便も安定している。変える理由はありません
  • 療法食を処方されている。療法食は目的があって設計されています。自己判断で市販品に替えないでください
  • 豆類を含むフードで体調を崩したことがあり、獣医師と原因を確認している。置き換え先が豆類なら、同じことが起きます

なお、「高いほうが安心だから」という理由だけで検討しているなら、いったん止めて構いません。価格はグレインフリーかどうかより、原料の種類と製造国で動く部分が大きく、値段と猫との相性は別の話です。

もう一点、順番の話をしておきます。

下痢が続いているなら、フードを替える前に動物病院へ。慢性的な下痢の背景には寄生虫や消化器の病気が隠れていることがあり、フードを替えて様子を見ている間に発見が遅れます。食事の変更が有効かどうか、どのフードで試すかは、原因を絞り込んだあとに決める順番になります。

犬で報告された心臓病の話と、猫のタウリン

グレインフリーを調べていると、犬の心臓病の話が出てきます。豆類を多く使ったフードと拡張型心筋症(DCM)との関連が2018年から米国FDAで調査されてきたもので、FDAは2022年末の時点で因果関係は確立されていないとしており、いまも結論は出ていません。着目されているのは穀物の有無そのものではなく、代替原料として使われる豆類の配合量のほうです。

猫には、別の論点がもともとあります。タウリンです。猫はタウリンを体内で十分に作れず、食事から摂る必要があります。不足すると心臓や目に影響が出ることが古くから知られており、これが「総合栄養食」表示のない製品を主食にしてはいけない理由の一つになっています。市販の総合栄養食なら基準を満たすよう添加されています。気をつけたいのは、手作りごはんや、ふりかけ・おやつの比率が上がってきたときです。総合栄養食以外のものが食事全体の1〜2割を超えてくると、こうした栄養素の計算が崩れます。

ただし、犬で報告された事例の多くはタウリンが不足していたわけではなく、タウリンが足りていることが豆類の論点の答えになるわけではありません。猫については結論の出ていない話題です。それでも実務的にできることはあって、原材料の上位5つのうち3つ以上が豆類やその加工品(えんどう豆たんぱく、えんどう豆繊維など)で埋まっている製品は、動物性原料が中心の設計とは言えません。心配のためというより、そもそも猫向けの設計として、そこは避けておいて損はありません。

つまり、穀物を抜いたかどうかより、抜いた分を何で埋めていて、必要な栄養が揃っているか。見るべきはそちらです。

表示欄の4項目を読む

「グレインフリー」は正面に大きく書かれますが、判断に使うのはその隣ではなく、原材料と成分値が並ぶ表示欄です。総合栄養食かどうかとライフステージは正面に書かれている製品も多いので、まずそこを見て、残りの2つを表示欄で確認する順になります。

見る項目 確認すること
ライフステージ 「成猫用」「子猫用」「全年齢用」のどれか。今の猫の年齢に合っているか
目的の表示 「総合栄養食」と書かれているか。書かれていなければ主食にはできません
原材料の並び 多い順です。上位に肉や魚の名前があるか、豆やいもが占めていないか
成分値 粗たんぱく質。AAFCOの基準では成猫の維持期で乾物量26%以上、成長期で30%以上とされ、「総合栄養食」と書かれていれば最低ラインは満たしています。高いほどよいというものではなく、腎臓病など持病のある猫では制限が必要な場合もあります

成分値には落とし穴があります。袋の表示が水分を含んだ値だということです。基準側の「乾物量」とは分母が違うので、水分の多いウェットフードと数字をそのまま比べることはできません。ドライの成猫用同士なら、表示値は28〜34%あたりに集まります。揃えたいときは、表示値 ÷(100 − 水分%)× 100 で乾物量に直せます。水分10%・粗たんぱく質30%のドライなら 30÷90×100=約33%。水分78%・粗たんぱく質10%のウェットなら 10÷22×100=約45%で、見た目の数字とは印象が逆転します。

原材料の並びにも、同じような読みにくさがあります。原材料は加工前の重量順に並ぶため、水分を7割ほど含む生肉は乾燥させた原料より上に来やすい。「チキン」が1番目でも、水を飛ばした後の量では下位の原料を下回ることがあります。同じ豆を「えんどう豆」「えんどう豆たんぱく」「えんどう豆繊維」と分けて書けば、合計は多くても個々の順位は下がります。1番目だけでなく上位5つほどをまとめて眺め、似た原料が繰り返し出てこないかを見ると精度が上がります。

「チキン」「チキンミール」「ミートミール」の違いも知っておくと、原材料表示が読みやすくなります。ミールは、肉や内臓などを加熱して水分と脂を取り除き、粉状にしたものです。水分が抜けている分、同じ重さあたりのたんぱく質は多くなります。質が悪いという意味ではありません。ただし「肉類」「家禽ミール」のように動物種が書かれていない表記は、何が入っているかを確認できないという点で情報の少ない表示です。
印刷のない無地のフード袋を裏返して持つ手元
実際の原材料表示を読む練習には、個別の製品を扱った記事が使えます。

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「食いつきランキング」を鵜呑みにしない

フードを検索すると、食いつきの良さで順位を付けた記事が大量に出てきます。参考になる部分はありますが、順位そのものを信じて買うのはおすすめしません。

猫の好みは、生後半年ごろまでに食べたものの影響を受けるといわれます。加えて、同じ味が続くと飽きたり、逆に慣れないものを警戒したりと、個体差の大きい部分です。ランキング1位は、あくまで誰かの家の猫にとっての1位です。

もう一点、混同されやすいことがあります。猫がよく食べるかどうかは香りと脂の量に大きく左右されるため、よく食べる=よいフード、とは限りません。合っているかどうかは、食べた後の便と、数か月単位での体重や被毛の様子で見ていきます。

便で見るのは硬さと回数です。良い状態は、砂の上から形を保ったまま拾い上げられる程度。指でつまむと崩れる、砂に染みるといった状態が続くなら合っていません。回数も目安になり、1日1〜2回だったものが3回以上に増えたら切り替えが速すぎるサインです。黒っぽい、赤いものが混じる場合は消化管からの出血の可能性があるので、フードの問題として扱わず受診してください。

順位よりも、少量パックを買って自分の猫で試すほうが確実です。多くのメーカーが小さいサイズを用意しているのは、そのためでもあります。

切り替えは7〜10日かけて

グレインフリーに限らず、フードの切り替えは時間をかけます。急に全量を入れ替えると、消化管が追いつかず下痢や嘔吐の原因になります。

  1. 1〜2日目:新しいフード1割/今までのフード9割
  2. 3〜4日目:新しいフード3割/今までのフード7割
  3. 5〜6日目:新しいフード5割/今までのフード5割
  4. 7〜8日目:新しいフード7割/今までのフード3割
  5. 9〜10日目:新しいフード10割

混ぜ始めると、新しい粒だけきれいに選り分けて残す猫がいます。皿の底に新しいほうだけ十粒ほど溜まっている、という状態です。
無地の器に入れた3種類のドライフードを見比べる猫

このときは割合を進めず、一つ前の比率に戻してください。あわせて、残した分だけ今までのフードを足します。選り分けているあいだは食べる総量が落ちやすいので、粒の数ではなく「皿がどれだけ空いたか」で見てください。数日で気にせず食べ始めることが多いものですが、食べ残しが減らないまま数日続くようなら、切り替えを中断して元のフードに戻します。

便がゆるくなった場合は、一つ前の割合に戻したうえで、数日そのまま据え置きます。7〜10日で終わらせようとして下痢をさせるより、2週間かかっても段階を戻しながら進めたほうが、結果的に早く落ち着きます。

食べてくれないときは、少し温めて香りを立たせると口をつけることがあります。皿に盛ったドライに、ぬるま湯を小さじ1杯ほどふりかけて混ぜる程度で十分です。人肌が目安で、熱くしすぎると香りが飛んでかえって食べません。ふやけた粒を嫌う猫もいるので、まずは全量ではなく端のほうだけ湿らせて反応を見てください。

元のフードなら食べる、という場合に限り、そのフードは合わなかったと判断して構いません。問題は、元に戻しても食べないときです。猫は食べない時間が続くと肝臓に脂肪がたまる「肝リピドーシス」を起こすことがあり、とくに太めの猫では進行が早いとされています。丸1日ほとんど口にしていないなら、フードの相性を疑う前に動物病院へ連絡してください。食欲が落ちる背景には、口内炎や歯のトラブル、鼻づまり、内臓の病気が隠れていることもあります。切り替え中に嘔吐が続く、ぐったりしている、血の混じった便が出た場合も同じです。

切り替え中に元のフードを切らさないでください。戻せなくなると、体調が崩れたときの逃げ道がなくなります。

なお、ここでの混合は切り替え期間中の一時的なものです。2種類を日常的に混ぜ続けるのは、栄養バランスの管理と、体調を崩したときの原因の絞り込みの両面で別の問題があります。

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よくある質問

子猫やシニア猫にグレインフリーを与えても大丈夫ですか?

製品のライフステージ表示が合っていれば問題ありません。グレインフリーかどうかより、「子猫用(成長期用)」「全年齢用」といった表示と、総合栄養食であることを先に確認してください。子猫は成猫より体重あたりのカロリーとたんぱく質を多く必要とするため、成猫用を与え続けるのは向きません。

グレインフリーに替えたら、うんちがゆるくなりました

切り替えのペースが速すぎた可能性があります。ひとつ前の比率に戻し、10日以上かけて進めてください。豆やいも類を多く使う製品では、便の量やにおいが変わることもあります。数日たっても戻らない、血が混じる、食欲が落ちるという場合は、フードではなく体調が理由のこともあるため動物病院で相談してください。

買う前に、今日やること

今使っているフードの袋を裏返して、原材料の上位5つを読んでみてください。そこに何が並んでいるか読めるようになると、少なくとも「グレインフリーだからよさそう」という理由で選ぶことはなくなります。

体調に不安があって食事を変えようとしているなら、変える前に一度かかりつけに相談してください。先にフードを替えてしまうと、症状の原因が病気なのか新しいフードなのか分からなくなり、診断が遠回りになります。

この記事について

公開されている一般的な情報をもとに編集部でまとめたもので、獣医師の監修は受けていません。個々の猫の診断や治療に代わるものではありません。食物アレルギーの診断、療法食の選択、持病のある猫の食事については、必ずかかりつけの動物病院の指示を優先してください。

たんぱく質の基準値は AAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準、フードの表示の考え方は環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」を参照しています。

最終更新:2026年8月26日(内容は更新時点の情報です)

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